突然ですが、「新卒3年目で企業の取締役に就任した人」と聞くと、皆さんはどんな人を想像しますか?
「それはただの天才」
「もはや生まれながらの仕事人」
「いやそれはもはや人間?」
ひとつでも思い当たった方、似たような答えを想像した方、それ、偏見入っています!
今日お話を伺ったのは、株式会社MOBBの宮澤さん。
宮澤さんはなんと同社取締役に若干25歳にして就任したというツワモノ……。
しかし、お話を聞いていたら、最初からバリバリのビジネスパーソンではなかったらしい。
それならどうして、この若さにしてここまで駆け上がることができたのか。宮澤さんの「仕事に対する熱意と成長のスピード」について、掘り下げて聞いてみました。
宮澤大樹さん / Daiki Miyazawa
愛知県出身。在学中にインターン求人サイト、キャリアバイトを運営するアイタンクジャパンに長期インターン生として参画。上場企業の内定を辞退し、同社へ入社後、関西支社長に就任。
2015年10月に株式会社MOBBへ転職。現在はデジタルマーケティングの戦略構築やWEB制作を担当している。2016年7月、25歳にして同社取締役に就任。
「昔はいわゆるどこにでもいる普通の大学生だった」
―宮澤さんは今、どんなことをされているのですか?
僕は今、デジタルマーケティングや制作の仕事に携わっています。
これらクライアントワークと並行して、チャットボット(※LINEの公式アプリのように自動で反応してくれるシステム)の開発やプロスポーツ選手と企業のマッチングサービス「move」の構築、Fantasia,Inc.とジョイントベンチャーを組んで、東南アジアに日本の情報を発信する「NOREN」というというサービスを展開しています。
―現在、かなり精力的にお仕事をされていますが、昔からそのように活動されていたのでしょうか?
そんなことは決してないです(笑)
学生時代を振り返ると前半はいわゆるどこにでもいる普通の大学生でした。授業もほとんど行かずに、ゆるい野球サークルに入って〜…と。
高校時代から続けていたバンド活動には結構力を入れていたんですが、それも音楽性の違い(笑)から2回生の夏ごろに解散。唯一の打ち込み先だった音楽がなくなってしまって、何をしたらいいかわからず、案の定何もせず、ボーッとして過ごしていましたね。
―なるほど。本当によくいる普通の大学生ですね(笑)今のようなバリバリ働くビジネスパーソンになるきっかけの出来事って何かあったのでしょうか?
きっかけはCVS Leadership InstituteというNPOのプロジェクトに参加したことです。
SNSで友人がシェアしていた情報を見て、以前から漠然と海外には興味があったので、説明会へ足を運び、そのままプロジェクトへ参加することになりました。
―CVSでは具体的にどのようなことをするのでしょうか?
CVSは、アメリカとメキシコでチーム対向のビジコンを行うカリキュラムです。
チームだけでなく参加者1人ひとりにも順位がつく、結構過激なセミナーで、残念ながら僕はそんなに活躍できませんでした。当然といえば当然なんですけどね。
全国から集まった35人の参加者は、同じ大学生にも関わらず、すでに起業していたり、英語で完璧なプレゼンや交渉ができたり、公認会計士の資格を持っていて課題に応用したり…と、目に見えたスキルを備えた人ばかりでした。
一方で自分はただの大学生。全然だめだなって実感しました。
「自分がどんな環境で働きたいかが明確になったのは、たまたま始めたインターン」
―CVSで見事にぼこぼこにされた。その後は一変して行動的になったとお聞きしました。
CVSで見事にへし折られてこのままじゃダメだなって危機感を持ちました。それから彼らに追いつこうと、まずは英語力を上げるために半年間カナダでワーキングホリデーをしました。
帰国後、休学をしてワーホリに行っていた関係で、内定を頂いてから入社まで、丸1年半くらい暇になっちゃったんです。何しようかと考えていたところ、たまたま先輩からアイタンクジャパンで長期インターンをしないかと声をかけられたんです。
―宮澤さんはアイタンクジャパンでは当時どんなことをしていたのでしょうか?
アイタンクジャパンは、長期インターンシップの情報サイト「キャリアバイト」を運営している会社で、僕は主に営業を担当していました。
振り返ると、環境にはかなり恵まれていましたね。入った当初から一人で営業を任されて、日々沢山の経営者とお話をさせていただくことができたので、非常に勉強になりました。
もちろん沢山失敗もしました。たとえば、お客様の情報を調べられるだけ調べて頭に叩き込んだから、明日の営業は絶対にうまくいく!と自信満々で伺ったら、「結局僕の会社を調べただけだよね。キミの意見はどこにあるの?」と跳ね返されたことも(笑)
しかし営業をするうち、自然と仕事にのめりこんでいました。ちょっと語弊があるかもしれないですけど、楽しくて仕方なくて、基本的には始業の1時間以上前から終電まで働いてました。通勤電車の中でもテンション高めに仕事をするのが日課でしたね。
―朝から晩まで楽しんで働くってすごいですね。なぜそんなに熱意をもって働けたのでしょうか?
まずは、事業の目指す所に深く共感ができたこと、それからやはり、早い段階で実際に働いてみて自分がどう働きたいのか実感でき、かつそれがアイタンクジャパンでの働き方と合致していたことが大きかったのではないかと思います。
―なるほど、具体的にどのような共感があって、どんな働き方を実感したのでしょうか?
事業への共感は本当に明確で。
インターン生の自分は高いモチベーションで仕事やインプットをしながら通勤している。周りの大人は、気だるそうにゲームをしながら通勤している。こんなつまらない光景を変えられる仕事が「長期インターンの当たり前化」だと実体験として掴めたからです。
そして、働き方ですが、僕は働くことにおいて大切にしていることが大きく分けて2つあります。
1つ目に、僕は「仕事とプライベートに境界をひかない働き方をする」ということです。
たとえば、友達と遊んでいたら、これって仕事にも使えるんじゃないか、逆に営業先の人と趣味について話していて、僕も今度休みの日にやってみようかな。心理学の授業で聞いたことは営業にも使えるんじゃないか、と考えてしまうんです。色んな所で聞いたことがある日つながる感覚が面白いと思えるんです。
もちろん、仕事とプライベートをわけないという働き方が絶対にいいということではないです。ただ、僕の場合、境界がないからこそ、ずっと熱中して仕事に取り組むことができる、つまりこれが熱意の源だと思います。
2つ目に「誰と働くか」を大切にしています。
僕は基本怠け者なので、すぐさぼるし根暗です。ナチュラルに仕事が好き!だとは言えません。でももし仕事の成長スピードはどこから来るかに答えるなら、僕の場合は働いている中で一緒に過ごす人がいることで生まれてくると答えます。
他にも、尊敬している社外の人に定期的に会うようにしています。たとえば何か月か仕事に取り組んでみて、そろそろAさんのことを追い越しただろうなって思えたときに会ってみるんです。でも実際会ってみたらそんなことは決してなくて。
できるようになった分だけ、Aさんとの距離がどれだけ遠いものだったかを毎度思い知らされます。ただ、そこに凹むより、もっと走って早くAさんが見ている景色を見たいという好奇心に駆られます。
これも僕の仕事の成長スピード感に繋がっているのではないかと思います。
―それでは、自分の働き方を確立するきっかけをくれたアイタンクジャパンからMOBBへ転職された訳はどんなものだったのでしょうか?
当時、僕はアイタンクジャパンで関西支社長を任されていました。お客様を増やす仕組みをつくってマーケットを広げることがミッションでした。
もちろん、僕は関西のことが大好きですし、キャリアバイトというサービスへの愛着があったので楽しかったです。 一方で、日々サービスの改善を考えていくなかで、「もっとデザイナーやエンジニアと一緒に働きたい、自分と違う色々な領域の人と働きたい」という気持ちが強くなりました。
MOBBでは優秀なクリエイターの人たちとチームになって仕事をすることができます。またそれに加えてアジアまで見越してサービス開発をしていて、情報収集もほぼ英語。
言語や文化の隔てなく働けるキャリアを築きたい思いもあったので、転職を決意しました。
【デキるための極意】「とりあえず目の前のことを言い訳せずにやる、それしかない。」
―社会人3年目にして取締役に就任したということですが、そんな宮澤さんは、学生や若手の仕事に対してどうあるべきだと考えていますか?
学生時代から企業の中で働いていた実体験から、そもそも若手や学生はできなくて当たり前。だからまずは働くだけ働くべきだと僕は考えています。
―言い訳せずに働くだけ働くって、モチベーションを保つのが相当難しそうなのですが……。
もちろん、ただどうしてもある日、「一日 48時間あればいいのに、このままだと死んでしまう……」って言う日が来る。
大学生活でも「バイトにサークルに部活に遊びに課題に試験に……あああ~終わらない!どうしよう!」っていう日、ありますよね。
こんな風に、自分の処理能力と目の前に課された量が釣り合わない、というとき逃げたくなる気持ちがわいてきますよね。でもこれは逆にチャンスで、ただやりきる、それだけを考えてやりきれたとき、気づいたら前よりもできるようになっていると僕は考えています。
―もう少し詳しくお話を聞かせてください。
ゲームで例えるなら、画面の展開に指のボタンを押す速度が追いつかなくて、「あ~追いつかない、このままだと死んでしまう!」というのが「自分の処理能力の限界」。
でもただ集中して繰り返し取り組んでいたら、ある日気づいたら自然と押せるようになっていて、なおかつゲームも勝てるようになっていた、が「気づいたら前よりも仕事ができる」という具合ですね。
ただ、ここで注意してほしいのは、頭のいい人ほど、やりたくない理由を探しがちということだと思います。
「ゼミの方が優先度が高いと思うので…..」
「体調が悪くて生産性が……」
「これって本質的じゃないと思う」
っていう具合に。でも目の前にあるタスクができない人は伸びないと思います。
先程のゲームで言うなら、うまくボタンが押せないからって、「課題あるしやってよ~」とゲームがうまい人にさせて自分がしなかったら、いつまでたっても自分一人では攻略できるようにはなれない。それと同じです。
取り組むことは何でもよくて、今自分が取り組みたいこと、やりたいと思ったことなら何でもいいと僕は思います。一番よくないのはどれも中途半端になってしまうこと。だからとりあえず言い訳せずやってみることが大事で、失敗してもやり直せばいい。その失敗とやり直しの繰り返しが若手には必要な力だと思います。
【結論】仕事がデキる人の極意は、耳が痛いほどにシンプルだった。
いかがでしたか? お話の終盤、私は最近自分が大学の試験やレポート、インターンに追われてどれも中途半端になっていたので、非常に耳に痛い話でしたね……。うっ。
インタビューを通じて、働くときに自分が仕事とプライベートをキッチリ分けるタイプかどうかを見極めることが、熱意と成長スピードにと関わってくるのかな、と感じました。皆さんは自分の中での仕事をどう位置付けますか?
仕事にしろ何にしろ、デキるようになるためには魔法のような近道なんて存在しません。
「愚直に言い訳せずどれだけ真剣に取り組めるか」
これが一番の近道で、一番見落としがちな考え方なのではないかと思います。
もちろん、つらいことがあったら現実逃避もしますし、愚痴ることもあるかもしれませんが、この二つをうまい具合に組み合わせつつ、デキない自分を受け止めながら一つのことを続けられれば、結局は成長につながるのかもしれないですね。
私も失敗を恐れずにとりあえずやるだけやってみたいと思います。常にさっさとトライ&エラーですね!